【 設立趣意書 】
20世紀社会は、"大量生産技術"と"市場経済原理"を両輪とした「都市・工業文明」によって、特に工業先進国では歴史上かってなかったほどの、利便、快適、豊かさを享受した。21世紀に入って、その副作用が自然と社会の両側面で顕在化してきた。
副作用の一つは、「自然」に対するものであり、いまや"環境の悪化と資源の枯渇"が人類存続さえ危うくしている。中でも、地球温暖化は、20世紀技術が依 存する化石燃料由来の二酸化炭素が主原因であるが故に深刻であり、これまでの技術に対する最終的警告とも思われる。
もう一つは「人間・社会」に対するものである。工業社会の選択は当然ながら地方の農系社会の衰退をもたらしたが、国全体としては工業が効率的に稼ぎ出 し、その財の一部を地方に還元するという方策を取った。しかし、財の還元手段としての開発事業は多くの場合、地域社会が拠って立つ地域固有の資源を破壊は したが、必ずしも真の豊かさをもたらさなかった。そもそも技術は人間を自然から切り離す機能を持つがゆえに、地方の崩壊は軽視されたが、同時に我々の暮ら しが自然の恵みや、さらには他人の力で支えられているという意識をも喪失させた。
このような状況に鑑みれば、これからの日本を真に豊かな持続可能社会に再生する一つの確かな道は、これまでの都市・工業化の陰で、衰退・崩壊してきた数 多くの地域社会を、それが本来持つ自然共生的機能に依拠して健全な姿に再生することである。そのためにいま急ぎ求められるのは、その社会の全体像を出きる だけ具体に描き、それを実践することである。さらに近年のグローバリゼーションの進行が、地域の社会・経済の衰退を一層加速するものであることを認識した とき、そこから一定の距離を置く地域の自立的ありかたもまた模索する必要があろう。
近年はそのような自然共生的な地域社会をトータルとして再生・創造しようとする動きが各地で見られる。ヨーロッパやアメリカでは最初は実験的にそしてい まや実際的に、そのような社会づくりが各地で見られ始めた。それらが示唆する社会は、"石油依存の大量生産システムから、自然生態系の摂理とこれに馴染む ような技術体系に移行し、工と農、都市と里地の連携の中で新たな豊かさのライフスタイルが創造されるもの"と要約される。
我が国ではこのような社会実験はこれまでほとんど見られない。地球デザインスクールの目標は、このような新たな社会モデルを丹後の地に具体に実現し、そ の理念と実践を世界に発信することであるが、その可能性を持った初めての組織がスタートすることの意味は、日本にとってまた世界にとって例えようもなく大 きいと言えよう。なお、社会のあらゆる側面に関わる実践的事業を推進するためには、市民・行政・事業者・学者や学生など、あらゆる主体が手を取り合い、知 恵と力を集結することが不可欠である。そのための組織形態として最もふさわしいのがNPOであると考え、ここに「NPO地球デザインスクール」を設立する ものである。
2002年7月28日